コーヒー通っぽい?エスプレッソのイメージ
エスプレッソといえば、イタリア文化を代表するコーヒー通の飲み物というイメージがあります。
濃厚で香りが高く、豆の苦味がダイレクトに味わえる大人の飲み物といった感じがします。
しかし、本場イタリアでは寝起きの朝やランチやディナーの後など、一日の節目節目にさらっと飲み干す気軽な飲み物で、日本でいう「緑茶」のような楽しまれ方をしています。
実はエスプエッソは、普段わたくしたちが親しんでいる一般的なドリップ方式のコーヒーよりも、サラッとしていて飲みやすく、カフェインも少なめだといいます。
とっても不思議なのですが、どうしてエスプレッソの方が普通のコーヒーよりもあっさりしていてカフェインが少ないのでしょうか?
エスプレッソの抽出方法
わたくしたちが普段親しんでいるコーヒーの抽出方法は、挽いたコーヒー豆をろ紙に入れ、お湯をゆっくりと注ぎ入れながら、時間をかけてドリップする方法です。
一方、エスプレッソの抽出方法は、エスプレッソマシーンで圧をかけて、細く挽いたエスプレッソ豆の中に熱々の水蒸気を瞬間的に通して抽出します。
そのため、豆とお湯が触れている時間が短く、コーヒー独特のエグミや雑味が出てくる前に抽出をしてしまいます。瞬間的に抽出している分、カフェインが含まれる割合も少なくなるというわけです。
イタリア流!エスプレッソの正しい飲み方
イタリアでは日本の「緑茶」のように、エスプレッソが普段の生活の中で楽しまれています。朝起きた時、会社に行く前、ランチの後、午後の休憩、ディナーの後、そしておやすみ前と、1日に何回もエスプレッソを楽しみます。
エスプレッソマシーンで急速に抽出したエスプレッソはあっさりしていて飲みやすく、カフェインも少なめです。イタリア人はこのエスプレッソをさらっと飲み干すようにして嗜むと言われていますが、どのような飲み方が正しい飲み方なのでしょう。
エスプレッソの正しい楽しみ方
- ティースプーン1.2杯の砂糖を加える
- エスプレッソのクレマの泡を壊さないようにサッとかき混ぜる
- そのまま一気に飲み干す
- カップの底に残った砂糖は、エスプレッソに併せたスイーツのようにいただく
カップの底に残った砂糖には、エスプレッソの香りやほのかな苦味、味わいが贅沢に染み込んでいて、一気に飲み干したエスプレッソの後味を感じながら、お口直しのスイーツのように嗜むのがイタリア流だそうです。
知っておきたいコーヒーの歴史
羊飼いの元気の素「不思議な赤い実」
5世紀ごろ、エチオピアの羊飼いが見つけた元気の出る不思議な赤い実がありました。その赤い実の不思議な力を目にしたイスラム教の僧侶は、早速寺院に持ち帰ると、「魔法の豆」と名付け秘薬として大切に扱うようになりました。
その後僧侶たちによってイスラム教圏内に普及した赤い実は、煎ったり煮たりして使われるようになり、「コーヒー豆」という名前で一般の人たちにも広まって行くこととなりました。
トルココーヒーの誕生
16世紀に入りトルコに渡ったコーヒー豆は、石臼で挽いて煮出して飲む「トルココーヒー」として親しまれました。現代のコーヒーの飲み方の原型の誕生です。
トルココーヒーは、トルコを訪れていたイタリアの商人たちによってイタリアに入り、やがてイタリア全土に普及しました。
イタリアでコーヒーがエスプレッソという形に変化した経緯
さて、こうしてイタリア全土で愛されるよになったコーヒーですが、19世紀に入るとナポレオンがヨーロッパ大陸を制します。この事がイタリアでエスプレッソが誕生したキッカケになっていきました。
ナポレオンはヨーロッパに対する経済制裁として、大陸封鎖令を発令しました。
これによりヨーロッパでは深刻なコーヒー豆不足に陥り、多くのコーヒーショップが倒産に追い込まれたといいます。
デミタスカップの誕生
そんな中、ローマの有名なカフェの代表「カフェ・グレコ」では、なんとかしてコーヒー豆不足、価格の高騰に影響されずにコーヒーを楽しんでもらいたいと、使用するコーヒー豆の量を減らし、小さなカップでの提供を始めました。
これがエスプレッソには欠かせない小さなカップ「デミタスカップ」の誕生でした。
エスプレッソマシーンの開発
デミタスカップが親しまれるようになって1世紀ほどが過ぎ、より速く短い時間でコーヒーを抽出するための機械が開発されました。この機械は、特急で抽出できるのが特長だったため、「espresso ・イタリア語で(急行)」という意味を表す機械ということで「エスプレッソマシーン」と名付けられました。
エスプレッソマシーンで抽出するためのエスプレッソ豆
エスプレッソマシーンでespresso(急行)で抽出するために、深く焙煎して細く挽いた豆が使用されるようになりました。これが「エスプレッソ豆」です。
こうしてイタリア文化の代表「エスプレッソ」が完成したのは20世紀に入ってからのことでした。
エスプレッソの世界進出
こうしてイタリアで誕生したエスプレッソは、やがてフランス全土にも普及していきました。その後アメリカに渡ると、シアトル系のコーヒーチェーンによって日本をはじめ世界中に進出していくこととなりました。
実は身近で親しまれているエスプレッソ
カフェラテ・カプチーノ・マキアート
アメリカのコーヒーチェーンによって世界中に拡散されたエスプレッソ。コーヒー通の飲み物としてのイメージでしたが、実はわたくしたちが普段から親しんでいるお馴染みのコーヒーであるカフェラテやカプチーノ、マキアートなどは全てエスプレッソがアレンジされた飲み物なのです。
エスプレッソに配合するミルクで変わるエスプレッソの名前
いかにもコーヒー通だけが楽しんでいたかに見えていたエスプレッソですが、シアトル系のコーヒーチェーンが世界中に拡散させたコーヒーは全てエスプレッソを基本として、ミルクでアレンジしたものなのです。
- エスプレッソにミルクを加えたもの=カフェラテ
- エスプレッソに泡立てたミルクを加えたもの=カプチーノ
- エスプレッソに少量の泡立てたミルクを加えたもの=マキアート
理想のエスプレッソ
エスプレッソの本当の旨味は、淹れたての10秒に凝縮されていると言われています。淹れたてのエスプレッソは「クレマ」「ボディ」「ハート」の美しい三層に分かれているのが理想の形とされ、それぞれに楽しむべき特徴があるといいます。
クレマ
三層の一番上にある、美しい黄金色のクリーム状の泡の層を「クレマ」と言います。このクレマは、お砂糖を入れた時、ゆっくりと沈み込んでいくのが理想の状態とされ、クレマの味わいと深い香りで、エスプレッソの出来を判断することができると言われています。
ボディ
三層の中間層が「ボディ」と呼ばれています。エスプレッソのコク、深み、厚みを閉じ込めたボディには、豆の種類や味わい、焙煎の深みや重みなどの旨味が凝縮されています。
ハート
一番下の層は「ハート」と言います。淹れたての香ばしい香りから、口にした瞬間に口の中に広がる深い香り、飲み干した後に鼻を通る残り香まで、エスプレッソの香りの全てが含まれている層です。
お家で楽しむエスプレッソ
エスプレッソマシーンは大型で高価な業務用ばかりでなく、お家で楽しむためのお手頃な価格で、本格的なエスプレッソを楽しめるマシンも沢山あります。
DeLonghi デロンギ デディカ エスプレッソ・カプチーノメーカー
コンパクトでおしゃれな外観が特長。メタリックなシルバー、レッド、ブラックの三色から選べます。
プロ用マシンと同じポンプ式を採用し、抽出気圧も9気圧を実現しているので、本格的なエスプレッソの味をそのまま楽しむ事ができます。
二重構造のスチームノズルでフォームドミルクを簡単に作る事ができるので、カフェのようなカフェラテやカプチーノなどの様々なメニューのバリエーションも可能です。
DeLonghi デロンギ デディカ エスプレッソ・カプチーノメーカー 【メタルシルバー・ブラック・レッド/全3色】【正規品】EC680M/EC680BK/EC680R 【送料無料】【あす楽対応】
ビアレッティ Bialetti タジッシマ CF37
天面がカップウォーマーになっていて、横から見るとカップの形をしたおしゃれなイタリアのビアレッティのエスプレッソマシーン。
3通りの抽出方法が選べて、1ショット、2ショット抽出を選べます。もちろんミルクスチーマー付きで、色々なメニューを楽しむ事ができます。
まとめ
エスプレッソの歴史やコーヒーとの大きな違い、イタリア流の楽しみ方をみてきました。コーヒー通のための飲み物だと思っていましたが、本場イタリアでは意外にも、日本の「緑茶」のような生活に溶け込んだ飲み物であるという事がわかりました。
また、カフェラテやカプチーノなどの普段から親しんでいるコーヒーの基本が、エスプレッソということもあって、実はわたくしたちにも身近な飲み物だという事もわかりました。
カフェで楽しむエスプレッソもいいですが、家庭用のエスプレッソマシーンで普段の生活にもエスプレッソを取り入れて、ちょっとおしゃれなコーヒータイムを過ごすのも、楽しいかもしれませんね。