わたくしは猫2匹と暮らしています。自由に家の中と外を行き来できる環境で飼育していますが、兄弟で同じ環境で育てたのに、性格には随分と違う特徴があります。
茶色いトラ猫はもっぱら外での狩りと、自宅周辺の縄張りの巡回と警備を中心の生活をしています。家の中に戻るのはご飯と寝る時だけ。一日の大半を外で過ごします。
一方白い猫の方は、一日中ずっと家の中で過ごしていて朝と夕方の2回ほど家の周りを一周する程度でほぼ外には出ません。もちろん狩りなどできず家の中の虫にも追いつきません。
こんなに面白くて愛すべき猫たちですが、彼らは一体どこからやってきたのでしょうか?
猫の起源・由来
猫の祖先
猫の起源は今から4000万年から6000万年前に生息していたミアキスという生物にまでさかのぼります。小型の食肉の動物でした。
体長は30センチほどで、イタチのような細い体つきをしていて、収納できる爪を持っており、イヌやネコ、アシカなどの食肉目の祖先とされています。
それから時は流れ、2000万年ほど前に、現代の猫の祖先とされているプセウダエルルスを経て、ネコ科としてのリビアヤマネコへと辿り着きます。
そして今から一万年ほど前に、中近東に生息していたリビアヤマネコが家畜化されたものが現代のイエネコのルーツと言われています。
猫を必要として家畜にした
その頃の猫は人間の主食としていた穀類を食べてしまうげっ歯類=ネズミなどの小動物を主食として生息していました。
そのことが人間にとっては好都合だったため、穀物倉庫のネズミを退治する役目として猫を家畜として側に置いておくようになったのです。
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猫の活躍・イエネコとしての働き
猫は穀物を守る守り神だった
それから猫は人間の食料をネズミから守るため、古代エジプト時代から倉庫で働いていたようです。初めて人と暮らしたイエネコの登場です。
猫は神として崇められ、大変大切にされていました。過失であれ故意であれ猫を傷つけることは大変な大罪として罰を受けることが当然でした。
また猫が亡くなると家人は眉を剃り落として喪に服し、ネコの遺体はミイラにして手厚く葬りました。
その頃の古代エジプトは猫を国外に持ち出すことは厳禁だったのですが、やはり当時の商人達が金のために持ち出したようです。
猫のヨーロッパへの進出です。
猫が減ったら、ヨーロッパの人口も減った?
そうしてヨーロッパに渡った猫ですが、ヨーロッパでもやはり穀類を守るために働いていました。
やがて害獣であるネズミを退治してくれるということで、穀類の守り神として穀類の豊作のために「生贄」として扱われていたこともあったといいます。
14世紀ごろになると有名な迷信「魔女狩り」が始まります。
猫は「魔女の仲間」「悪魔の遣い」として魔女と言われた人たちと一緒に処刑の対象とされるようになりました。
このことでヨーロッパでは猫の数が減少。
そのためネズミが大繁殖し、ヨーロッパ中でペストが蔓延してしまったのです。
ヨーロッパの人々は、当時の人口が約3分の2になるほどの大打撃を受けてしまいます。
この危機を救ったのもやはり猫でした。穀類を荒らしペストの元凶でもあるネズミを駆除してくれる上に、綺麗好きで美しい猫は次第に高値で売買されるようになりました。
皆はスコットランドの蒸溜所にいたウイスキーキャット、”タウザー”をご存知かにゃ?原料の大麦を狙うねずみを退治する役目にゃんじゃが、24年の生涯でにゃんと28,899匹ものねずみを捕まえたとか!?にゃんとも頼もしい番猫じゃにゃ!
猫はなぜ日本にやってきたのか?
奈良時代にやって来た猫
猫が日本にやって来たのは、インドを経て中国に渡った猫でした。
奈良時代、貴重な経典を中国から輸入する際、ネズミから経典を守るために船に乗せられました。平安時代では宮中で大切に可愛がられており、日本で初めての飼い猫として宇多天皇の寵愛を受けるようになりました。
猫の七変化!妖怪になったり守り神になったり
その後、猫は江戸時代には大ブームを迎えます。数々の猫に関する浮世絵や文献が残っているのはそのためです。
縁起物として「招き猫」として大切にされたり、「猫又」という妖怪であると畏れられたり、それでいて守り神と崇められたり、日本でもやはりその地位の乱高下は大変な事でした。
猫の現代社会での役割
猫の役割は愛玩動物
猫は犬と同様、愛玩動物=ペットとしての役割を担っています。
反抗期で生意気な事を言ったり、カリカリごはんに文句を言ったりはしません。帰りが遅くても責めたりせず、ただ側に居てくれる。そこに感じるのは完璧な愛情です。
あなたが居ないと生きていけないと、目で、声で、身体中で表現してくれます。
もし、猫や犬が言葉を喋れたら文句の一つも言いたいのかも知れませんが。。。
日本の野生の猫はツシマヤマネコとイリオモテヤマネコだけ
普段わたくしたちが猫と呼んでいる「イエネコ」という種類の猫は、猫の歴史を見返してみても、日本に伝わってきた時点から人間が家畜として改良した種類の猫でした。
家畜のイエネコとして扱えるよう、大きさも気性もすでに操作されていました。
そのイエネコが日本全国に広まり、人間の生活圏内で暮らしています。
家畜として生み出された種類なのですから、付かず離れずとも当然人間の近くにはいます。
外で暮らしている猫たちを「野生」だ「野良」だと言いますが、そもそも普段目にする猫に「野生」の猫はいないのです。
ライオンやトラなどの野生のネコ科の動物は日本には元々存在していないので、現在の日本の野生のネコ科の哺乳類は、ツシマヤマネコとイリオモテヤマネコの2種類だけ。
普段目にしている猫は「イエネコ」という家畜の種類なので、「ヤマネコ」とは分類されません。
外にいる猫は人間が連れてきた家畜としての「イエネコ」
人間に飼われていない「イエネコ」が繁殖し、外をうろついて子供を増やしたり、糞尿をしたりして迷惑だ!
保健所に連れて行ってもらって処分してもらおう!
そう簡単に考えていますが、その猫は人間が中国から家畜としてわざわざ船にのせて連れてきた猫ですよ。
管理やお世話は人間がしなくてはいけないのです。
管理するというのなら、殺処分も管理の一部だと思うかもしれません。
それでは何故その一方で、わざわざそんなペットを増やし続けている業者がいるのでしょうか?
プラマイゼロ。
外にいる猫を殺して、ペットとしての猫を作り出す。
差し引きゼロです。
この作業になんの意味があるのでしょうか?
現代社会においてペット市場は負け知らずの業界です。そのため利益のことしか考えない業者がのさばるのは人間界の自然の流れかもしれません。
でも業者だけではなく、それを求める側も同じ罪だと思わなければなりません。
業者が作り出すのは求める者がいるから。
作り出す者がいるから欲しがる者もいる。
これは延々と繰り返されてきた堂々巡り、同じことなのです。
人間は傲慢です。
いつの時代でもどの国でも、人間が欲のために犬や猫を際限なく増やす一方で、家や飼い主を失ったペットたちは、さまよい、子供を増やし、殺されます。
殺すなら増やさなければいい。
増やさなければ殺さなくていい。
プラマイゼロ。
わかっているはずなのに、作るのも求めるのもやはり人間です。
わかっているはずなのに、人間はやめません。
猫が日本に伝わってきた歴史をもう一度よく見直して、猫や犬などの愛玩動物・ペットたちをどのように大切にしていかなければならないのか、考え直さなくてはいけません。
伶花